2024年9月12日(木)
[ 活動報告 / 村議会 ]
(質問日は、2024年9月10日)
日本共産党の大名美恵子です。通告に従い一般質問を行います。
1件目は、AED(自動体外式除細動器)の活用現況と今後についてです。
一般財団法人日本救急医療財団の「AEDの適正配置に関するガイドライン」によりますと、AEDは、「心停止発生から5分以内にAEDによる処置が可能な場所」への設置が望ましいとされています。仮に1分あたり150mの早足移動でAEDを取りに行った場合、「300m以内」の距離にAEDがあれば5分以内に処置を行えます。大規模施設などにおいては、1箇所の設置ではこの距離を賄いきれない可能性があるため、水平移動距離300mごとに複数台の設置が必要となることがわかります。
本村では村内45の公共施設に設置されているとHPで公表されています。今般ある医療関係者から「AEDを使う様な事態は起きないに越したことはないが、実際必要になったときに使える状況で配置されているのだろうか」、「今以上に住民に身近なところへの設置も検討が必要なのではないか」と、ご意見が寄せられました。
ここでまず2点お聞きします。
❶つは、村内へのAED設置及び活用状況について
❷つは、先の医療関係者の「設置場所や活用など、検討が必要なのではないか」というご意見との関係で、村としては現状をどう評価し、今後の活用として考えることがあるのか、以上お聞きします。
まず,1点目のご質問のうち,設置状況につきましては,「茨城県AED設置施設登録制度」により登録された施設が公開されておりますが,村内では,公共施設46施設(東海高校を含む)のほか,民間企業や店舗など12施設を合わせ,58施設にAEDが設置されております。
また,活用状況につきましては,過去3年間,公共施設に設置されたAEDの活用実績はございませんでしたが,東海消防署管内で出動した救急事案において,福祉施設などにおける活用実績が17件報告されております。
次に,2点目の設置場所などに係る検討についてですが,AED設置が認知されている現状や保守管理の観点から言えば,村としましては,引き続き現状のとおり公共施設への設置を継続したいと考えております。
なお,村内の小・中学校に設置しておりますAEDは,「屋外型収納ボックス」に収納されておりまして,児童・生徒の屋外活動にも対応できるものでございますが,あわせて,休日や夜間に学校開放事業などで一般の住民の方が施設を利用している場合においても使用することができるものと考えております。
(再質問)
幸いにと言いますか、公共施設での活用実績は無いとのことですが、村内全体で見ればやはり17件あるということです。全国的に見た場合、最近では、AEDの適正配置に関するガイドラインに近づけようと、ビルの規模にもよりますが、オフィス単位や各フロアに1台ずつなど、セキュリティ毎にAEDを設置するケースが増えてきているという事も聞かれます。
そこで、再質問です。
❶つに、本村の45施設への設置について、「施設利用者にとって効果を最大限引き出すための適正配置とされる5分以内に電気ショックが可能な場所への設置となっているのか」確認の意味でお聞きします。
❷つには、ガイドラインでは設置が推奨される施設や、考慮される施設についても紹介されており、考慮される施設としてGSやコンビニエンスストアもあげられています。住民との距離感を考えればコンビニへの設置も効果が見込まれると思われます。
水戸市の例では、コンビニ各社とAEDに関する協定を結び、市内すべてのコンビニに設置されているとのことです。先ほどの医療関係者の方も、具体的に「屋外への設置」とともに「コンビニへの設置も効果的なのではないか」と提案されています。以上のことから、
まず、本村にはコンビニは何件あるか。
そして、水戸市のようなコンビニへの設置について、村としてはどう考えるか、お聞きします。
まず,1点目の御質問でございますが,公共施設のAEDは,正面玄関付近などの人目につき易い箇所に設置しておりますほか,利用者にAEDの設置場所を周知するため,施設内の案内図に設置場所を掲示しております。また,基本的には施設管理者が在席・管理できている状態で利用される施設でございますので,概ね5分以内にAEDを使用することができるものと考えております。なお,学校施設開放事業の利用者には,利用案内とともにAEDの設置個所についてもお知らせしており,村として可能な限りの周知を行っているところでございます。
次に,2点目の御質問でございますが,村内に約20軒ございますコンビニエンスストアにAEDを設置しようとした場合,保守点検などの維持管理に係る負担が生じますし,適切に使用できる人材の確保なども考慮する必要がございますので,一般財団法人日本救急医療財団が作成した「AEDの適正配置に関するガイドライン」において,“設置が考慮される施設”の一つとされているところではございますが,村としましては,このガイドラインで“推奨される施設”とされている公共施設において,設置・運用を継続したいと考えております。
村としては、「新たな費用負担と人材確保は考えたくない」という事のようです。今回提案をお寄せいただいた医療関係者の方は、公共施設への設置とともに、救急車が到着する前の効果的なAED処置を受けることができる住民を増やすという観点から提案されています。最後の質問として、救急車の到着時間についてお聞きします。
❶東海消防署及び田彦消防署から村内への最短時間と最長時間はどの位か。
救急車の到着時間についての御質問ですが,昨年の実績では,東海消防署から村内の救急出動に要する時間は,最短で1分,最長で15分,また,田彦消防署からは,最短で14分,最長で22分でございました。平均すると,それぞれ,5.5分,13.3分となっております。
心停止に伴う救急要請を行った場合には,救急車が到着するまでの間において,胸骨圧迫や人工呼吸を行うことで救命率を高めることが肝要ですので,AEDの使用方法に限らず,一人でも多くの方が心肺蘇生の方法を習得できるよう,消防本部が行う救急救命講座を広く案内するなど,村としてできる取組を進めてまいりたいと考えております。
現状ではAEDが設置してある施設で処置を行ったとしても、救急車が届くまでの時間は結構かかります。救急車到着前の効果的な処置とともに、到着時間短縮にもつながる全てのコンビニへのAED設置、提案致します。
また、いずれにしても今後、多くの住民の心肺蘇生法の習得なしには効果を上げることはできませんので、村としては消防まかせにせず、講座の案内以外にも取り組みを検討されるよう提言申し上げ、次の質問に入ります。
今年6月議会で「なぜ東海村では給食費の無償化ができないのか」という一般質問に答えた無償化しない理由が、教育部長と村長とで違っていたことに大変疑問を持ちました。
3月議会までの村の考え方として村長・教育部長ともに示されていたのは、「未就学児を育てる若い世代への支援を優先していく中、学校給食の無償化については他の自治体や国の動向を注視しながら検討を行う。また無償化については本来、国や県が広域的に対応し、居住する自治体によって格差が生じないことが重要と考え実施に至らなかった」という教育部長が答えた内容でした。
この答弁内容を整理しますと、1つは、村としては若い世代への支援を優先している、2つは、村としては他の自治体や国の動向を注視しながら検討を行う、3つめに、居住する自治体によって格差が生じない実施の在り方が重要というものです。
6月議会以前の答弁では、6月議会での村長答弁のような「学校給食の無償化は考えておりません」という表現は無かった、むしろ国・県はじめ周辺自治体の状況も見ながら検討する」、つまり「無償化が必要との判断に至ることもありうる」という答弁でして。だからこそ議員も住民も引き続き必要性を訴えていきたいと希望を持ちました。
しかし、なぜ同じ議場で「自校方式だから保護者に一部負担をお願いしたいので無償化はしない」と、あえて述べる必要があったのか、行政の姿勢に大いに疑問を持ちます。
❶つは、6月議会で村長が答弁した「東海村の特色である自校方式による学校給食の提供を継続していくためにも、保護者の皆様にも一定の負担をお願いしたいと考えており、私としては現時点において学校給食の無償化は考えておりません」という考え方は初めて示されたと受け止めますが、この考え方は執行部と一致していたことなのか。
❷つめに、経費をどこが負担するのかは別にして、村長自身として学校給食の無償化という政策についてどう考えるのか、以上お聞きします。
❶6月議会での村長答弁で示された考え方が執行部と一致していたことなのかというご質問でございますが,6月議会で村長が答弁した自校方式による学校給食の提供継続については,従来から自校方式とセンター方式との経費の違いの確認はしてきており,無償化を検討する材料のひとつを示したものであると認識していることから,村長と考え方の相違はないものと考えております。
【答弁 村長】
❷の給食費の無償化という政策についてどう考えるかについてお答えします。
給食費の無償化という政策は,保護者の経済的負担の軽減策としては一定の効果があるものと認識しております。一方で,学校給食のあり方という点で考えてみれば,もう少し議論の余地があってもよいのではないかと考えております。以上でございます。
(再質問)
私の今回の質問は、無償化の実現めざしてというより、そもそも学校給食とは何か、これを無償化する意義とは何かについて、村長や教育委員会と、また住民の皆さんとも共有できればと思っての質問です。
学校給食は、学校給食法第1条に記載されている通り、「児童生徒の心身の健全な発達及び食に関する正しい理解と適切な判断力の育成を図る上で重要な役割を担うものである」こと。また、学習指導要領において、「特別活動の学級活動の内容として、給食の時間を中心に健康によい食事の取り方など、望ましい食習慣の形成を図るとともに、食事を通じ人間関係をよりよくすること」と、示されており、学校教育活動の一環として実施されているものです。
そして、「学校給食の無償化」の意義については、千葉工業大学で教育行政学を専門とする福嶋尚子准教授などが言われる「保護者の負担軽減はもとより、どの家庭、どの自治体に生まれても、安心して1食を食べていいんだ、という子どもたちの基本的人権が満たされ、そのことを体感しながら育っていくことが一番大切なこと」という捉え方を今広げることが本当に重要と考えます。
子どもたちの教育を受ける権利・成長発達権を保障する義務が、国民や政府に課せられています。子どもたちの受ける教育の無償化は、憲法や「子どもの権利条約」にうたわれている国際的な義務であり、子どもの権利なのです。
しかし、6月議会での議論の中心は、給食提供にかかる経費に比重が置かれたもので、村長の「村としては自校方式という良い給食を提供し続けたいので、保護者には材料費を負担していただき現時点では無償化する考えはない」との答弁は、本来の子どもの権利の保障という論点を財政問題に矮小化して無償化を否定したものです。自校方式が優れていることは言うまでもなく食材も調理方法も提供方法も良質ほど望ましいのは当然です。
これらを前提に再質問です。
❶つは、6月議会での村長答弁、「自校方式なので現時点において学校給食の無償化は考えておりません」、これが無償化しない本当の理由だとするなら最初からそう示すべきだったのではないか。
❷つは、村長答弁にあった「もう少し議論の余地があってもよいのではないか」とは、具体的にはどういうことか。
❸つは、無償化政策について教育長のお考えをお聞きします。
1点目の無償化しない理由につきましては,これまでの答弁のとおり,未就学児を育てる若い世代への支援を優先して進めていくということに変わりはありません。加えて,理由の一つとして自校方式による学校給食の提供を継続していくためにも,保護者の皆様にも一定の負担をお願いしたいと考えているということでございます。
2点目の学校給食のあり方という点で考えれば議論の余地があってもよいのではということについては,各自治体が競って給食費の無償化を進めている現状には懸念をいだいております。学校教育の中で,負担を求めるものは色々ございますが,学校給食が優先されるべきものなのかという点について,私としては,議論がもう少しあってもよいのではないかという考えをお答えしたものでございます。
続いて,3点目の給食費の無償化という政策についてどう考えるかについてお答えします。
学校給食費については,基本的には受益者負担が原則であると考えておりますが,物価高騰が続く現在の状況下においては,無償化は,保護者の経済的負担の軽減策として一定の効果があるものと考えております。
一方で,給食費の無償化は,自治体ごとに単独で行われるべきものではなく,国や県において地域差がなく実施されるべきものと考えております。
教育長も本村は無償化しないのが本来だと言っているのですね。東海村教育プラン2025のまちづくりは人づくり人づくりは教育からとする教育立村の精神がいびつになっているように感じます。
では再々質問です。
❶つは、本村が教育に関して負担を求めているいくつかの中で、何を無償化、又は支援を強めるかについての議論はどこで行う事なのか。子どもの権利や住民の願いは別にした議論が必要という事なのか。
❷つめに、受益者負担という考え方について、給食を作り児童生徒が食べられるようになるまでに必要な費用のどの部分を言っているのか?法律も受益者負担に対し、公的支援を行ってはならないとうたっているわけではないと受け止めていますが認識はどうか。
❸つめとして、「給食費の無償化は,自治体ごとに単独で行われるべきものではない」とのことですが、村として無償化の必要性を認識するのであれば、国や県に求めつつ、目の前の児童生徒の権利を守り、住民要求に応える立場に立つのが村の姿なのではないか。
- 議場で直接行われましたが、本ご報告に答弁内容の記載が間に合わせられませんでしたので、申し訳ありません、後ほど追加ご報告とさせていただきます -
引き続き、「学校給食の無償化は子どもの権利である」という立場で、村長、執行部との議論を重ねていきたいと思います。
質問の3件目は、県の「一県一水道」推進への対応についてです。
本件については、先の6月議会でも取り上げ、「一県一水道」推進に関する状況について理解してきたところです。今回は、私が「一県一水道」に入るべきではないと判断する2点、1つは「村民の水道料金支払いでの負担増は避ける」こと、2つは「災害時の水確保のためには本村単独の水道事業を持っていた方が良い」という点について、もう少し深め、村が「一県一水道に参加しない」との決断に至る一助となればと考え取り上げました。
まず、4点質問いたします。
❶点は、県の「一県一水道」推進との関係で,本村の関わりとして6月議会以降,どのようなことがあったか。
❷点は、県により,水道事業の広域化案が提出されてから,本村として重要と考える点について主張してきたことはあるのか。
❸点は、村民負担増を避け,災害時の水道水確保と供給を考慮すれば,本村独自の水道行政とするのが望ましいと考えるが,村の方向性は定まったのか。
❹点目に、「一県一水道」に参加するのかどうか,村の意思を示す時期はいつになるのか、以上お聞きします。
6月議会以降の動きといたしまして,茨城県の企業局長と水政対策監による首長訪問が7月にあり,施設の最適化案やシミュレーション,経営の一体化の基本的な枠組みの考え方について,直接説明があったところでございます。
本村といたしましては,地震等の災害時の応急給水対応として独自水源の確保を最重要と考え,外宿浄水場と県水の2系統の維持を強く主張しております。
この主張に対し,茨城県からは,2系統の水源の維持が明示された提案がありましたが,経営の一体化となると運営主体は県となるため,災害時にこれまでどおりの迅速な対応が可能かどうか精査中であり,現時点では,経営の一体化に参加するかどうかを判断するまでには至っておりません。
正式に村の意思を示す時期につきましては,広域化に参加する自治体は施設改修に国交付金が活用でき,国への交付金の本要望を「令和6年の12月から翌年の1月に実施」と茨城県のスケジュールが示されておりますことから,年内中には判断していくこととなると考えております。
待ったなしのところに来ている訳です。では再質問では、「一県一水道」参加が水道料金の引き上げにつながるのかどうかとの関係で、2点お聞きします。
❶つは、本村の水道料金は県内での位置としてどの程度になるか。
❷つは、これまで本村は比較的安い料金でしたので、「一県一水道」で料金統一が行われた場合、大幅な料金引き上げになるのではないかと危惧しますが、本村の水道料金の今後の設定についてどのように考えているかお聞きします。
❶本村の水道料金の県内での位置についてでございますが,茨城県の水道に関する統計資料「令和4年度茨城県の水道」には,家庭用として一般的な口径である20㎜の場合,県内43事業体の中で6番目に安い料金となってございます。
❷本村の水道料金の今後の設定についてでございますが,令和7年度に予定しております「東海村水道事業中期経営計画」改定作業の中で,財政計画や,有収率の向上とコスト削減なども合わせて検討していく考えでおります。
再々質問です。本村の水道料金の全県的位置を金額でみたいと思います。直近の統計における,県平均と本村の水道料金はいくらか、お聞きします。
直近の「令和4年度茨城県の水道」では,口径20㎜で県平均の料金が4,294円で,本村の料金は3,382円でございます。
今回も村長の意思を確認する通告をしないでしまいました。が、村の意思である外宿浄水場は何としても維持したい、また「一県一水道」に入らなくても本村が必要とする水量を県水から購入できるというこの2つにも確信をもって、引き続き村民に安価で安全な水を安定的に供給できるよう、今後の意思表示では「一県一水道に参加しない」と、明確に回答することを期待いたします。(期待して次の質問に入ります)
原電は鋼製防護壁の地中連続壁基礎建設工事に失敗し、これは単なる失敗なのかそれとも設計に無理があったのか明確ではありませんが、8月23日規制委員会に工事計画変更届を提出しました。報道によれば原電は最も安全性の高い方法だとして、不備の部分を地中に残しながら基礎の構造として扱わず、代わりに鉄骨を使った中央部の補強、セメントによる地盤改良、鋼管矢板を増やして基礎幅を広げる三つの対策を組み合わせるなどし、津波への強度を確保するという内容だったとのことです。
ここで3点お聞きします。
❶点は、今回の工事計画案について、国や県の判断に頼らず東海村としての判断も重要になっていると考えますが、どう受け止めたか。
❷点は、今回新たに、鋼製防護壁につながる鉄筋コンクリート防潮壁の基礎工事も同様の不良があるという告発を受けました。工事者と工法が同じであることから十分考えられるとも思いますが、ここは既に完了とされています。しかし安全上重要な部分ですので、事実確認が必要です。村民の安全確保の観点からまず村として原電に対し工事は計画通り行われたのか、また不良の有無について確認すべきです。認識をお聞きします。
❸点は、原発にはそもそも危険性がある上に、東海第二は間もなく稼働46年を迎える、またこの間約13年半も止まったままであること。そもそも稼働すれば増え続ける使用済み核燃料を10万年も安定的に隔離保管できるのか、さらに、事故は起き得るのにどんな状況でも安全に避難できる広域避難計画ができないでいる、何より動かす上で前提となる新規制基準対応の工事は失敗も含めて3回の工期延長等々、もはやどの角度から考えても動かしてはならない原発と言えるのではないでしょうか。
村は、原発に一番近い所で生活する住民の安全に責任を持つ自治体として、再稼働は認めず廃炉を求めると、明確に表明すべき時期と考えます。認識をお聞きします。
【答弁 村民生活部長】
❶事業者が示した対応方針への受け止めにつきましては,先月29日に開催された原子力規制委員会の“審査会合”において,施工された地中連続壁を“基礎として使用しない”こととして,周辺地盤の地盤改良や基礎の追加などの対策を検討していることが示されたところですが,今後,地中連続壁が残置されることも含めて耐震・耐津波の評価が示されていくと認識しております。今回の工事につきましては,技術的に高度な判断が必要なものであることから,工事計画は,原子力規制委員会による審査を経て認可されるものと認識しており,村として評価することは困難であると考えております。
❷鋼製防護壁の不具合事象とは別の工事個所でも施工不良が生じているとの疑義でございますが,まず,鋼製防護壁基礎部で確認された事象の要因は,「掘削完了後にコンクリートを打設するまでの期間が長期化したこと」,「ハンマーグラブの接触により鉄筋が変形し,変形した鉄筋カゴに,後に沈設した鉄筋カゴが接触したこと」でございます。
一方,御質問の工事では,「掘削後,コンクリート打設までの期間が短期間であること」,「鉄筋カゴ同士が接触する箇所がないこと」から,同様の事象が発生し難いということを事業者から聞き取っており,今後,事業者において詳細に調査を実施すると聞いておりますので,村としてもその状況を確認してまいります。
【答弁 村長】
❸東海第二発電所の稼働の是非については,これまでも答弁していますとおり,現時点で判断してはおりません。
今回の工期延長についてですが,安全上必要な防潮堤工事の不具合への対応に伴うものであり,やむを得ないものと受け止めております。
私としては,引き続き安全協定の運用を通じて事業者の事業活動を確認しつつ,本村の防災対策の取組を進めることに専念してまいりたいと考えております。
いずれにしましても,今後,何らかの判断をする場合においては,村長として村民の安心・安全を第一に考え,自らの責任を果たしてまいります。
❶点は、対応方針について「村として評価する事は困難」とのみ言われるのであれば、国や県が「良し」とすれば、村としても「良し悪しは分らないが、その対応方針で良い」と判断するという事になるのか。
❷点は、施工不良に関する新たな指摘場所に関しては、村として原電に対し調査およびその報告をしっかり行うよう求め、同時に県・国にも曖昧にせず明らかにするよう求めるべきだが、認識はどうか。
❸点は、テロ対策施設について原電は2023年5月31日に4回目の変更認可を申請し、現在審査中なため、工事は行われていない、つまり施工不良以外にも24年9月末に工事を完了できない理由があったわけですが、その他にも9月末に工事が完了できない部分があるのか、原電の説明は聞いているか。
❹点は、避難計画について、県は原子力広報いばらきで「実効性ある避難計画」策定に向けてと表現しています。県計画には「実効性が必要」という意味なのか。また県は「実効性を持たせるために何をやろうとしているのか」について、村は県からどう聞いているかお聞きします。
同時に、村は東海村住民避難計画で強引に東海第二原発発災に関する避難計画を策定としましたが、どんな状況での発災でも村民が安全に避難できるという計画にはなっていません。それでも村長は再稼働是非判断4要件の1つクリアとするのかお聞きします。
まず,1点目の,事業者の対応方針に対する村の判断についての御質問でございますが,住民の安全・安心を確保する観点で申し上げれば,村として注視すべきは,鋼製防護壁の基礎部の“工法”ではなく,防潮堤としての耐震性・耐津波性,即ち“設備の健全性”であると考えております。村としましては,設計や工事内容に対して何らかの判断をする考えはなく,事業者自ら「安全性向上対策工事の要」としている防潮堤が“想定される地震・津波に対する健全性を有しているか”について,国の審査を通じて確認したいと考えております。
次に,2点目の,御指摘のあった不具合事象への対応につきましては,先ほどお答えしましたとおり,村として既に事業者への聞き取りを行い,調査結果の報告も求めているところでございまして,国や茨城県に対しても事業者から然るべき報告が行われるものと認識しておりますので,村から改めて国・県に対応を求める考えはございません。
次に,3点目の,“防潮堤工事以外の工期延長の要因”につきましては,段階的に「設計及び工事計画認可申請」を行っております「特定重大事故等対処施設」について,一部,認可を取得していない工事があることを,村として把握しておりますが,事業者からは,資材の調達状況や物流の停滞,作業員の確保状況などを踏まえて工程全体が見直されており,工期延長の原因として,具体的な設備名や工事名を申し上げることはできないと聞いております。
最後に,4点目の御質問のうち,“県計画の実効性”についてお答えいたします。
茨城県広域避難計画は,あらかじめ避難計画を策定することとされる市町村の取組を支援するため,広域的な避難先や避難経路,輸送手段などを定めた計画でございまして,県においては,国とともに大規模・広域的な事案について,避難の実効性を高めるために必要な検討・取組を進めていただいているものと認識しております。
【再答弁 村長】
私からは最後の点についてお答えします。
再稼働の是非判断の要件については,これまでも答弁してきたとおり,“住民の意向把握”が残っております。これについては,原子力事業者が取り組む安全対策と,村の責務である防災対策の双方が揃うことが必要と考えておりましたが,避難計画の策定を進めるに当たって,国や県の協力の下,民間施設を活用することで避難先3市に全村民分の避難所を確保できましたので,昨年12月に試験研究炉などの計画と併せて住民避難計画を策定・公表したところであります。
❶つは、 “工法”ではなく,“設備の健全性”注視が重要とのことですが、認可を受けた工事計画でなくても健全性が保持されていればよいという事なのか、
また、村はほぼ原発から5キロ圏内の立地自治体という特別な環境だからこそ、施工不良が起きたなどの今回のような状況の時に、国待ちの姿勢ではなく、村内にも近隣自治体にも検討や判断ができる専門家がいますので、力を借りてせめて独自の検討をすべきと考えますがどうか。
❷つは、村長の再稼働是非判断のための4要件の1つ、新規制基準適合性審査の認可がクリアとされているが、工事が完成しなければクリアとは言えないのではないか。
❸つは、東海第二原発は、認められる内容での地震や津波対応工事が義務化されていますが、地震や津波、原発事故となれば被害を受けるだけの住民は、村には地震や津波は無い中での避難計画しか作ってもらえない。緊急時対応策定の時に実効性の議論がされるというのなら、村長の4要件の1つ避難計画策定のクリアは、緊急時対応策定の時になるのではないか。
❹つは、鋼製防護壁の基礎工事で不良があったことについて、原電が誰に言われなくとも自ら公表しなかったことは、組織に求められる資質としては大きな問題あると考えます。他の工事でもそうしたことがたくさんあるのではないか疑問がわくのは当然です。今回の工期延長についても工事計画を規制委員会が認めていないのに2年3カ月という期間の根拠も示さず発表となった。
議会では再度の確認になりますが、火災同様、工事の進め方についても「組織風土に問題を感ずる」と村長の厳重注意が必要と考えるが認識をお聞きします。
1点目についてですが,工事計画は,耐震・耐津波を含む 設備の健全性に係る評価を示した上で,国から認可されるものと認識しております。また,独自の検討をすべきとのことですが,そもそも村には工事計画を審査し,是非を下すような権能はありませんので,規制委員会の判断を注視してまいりたいと考えております。
次に,2点目ですが,「新規制基準適合性審査への合格」を是非判断の要件の一つとした理由は,「村民の安全を確保 すること」を最優先とし,高度な技術的・科学的観点からの審査をクリアすることが重要と判断したためであります。事業者が行う安全性向上対策工事は,当然ながら認められた計画どおりに完了するものであり,使用前検査などを通じて確認されるものと認識しております。
3点目についてですが,緊急時対応は,“東海第二地域全体の計画”として国が取りまとめるものであり,法令の定めるところにより,市町村には地域防災計画や避難計画の策定が求められていることを踏まえて,村として「原子力災害に備えた東海村住民避難計画」を策定したところですので,これをもって要件の一つをクリアしたものと考えております。
最後に4点目ですが,昨年11月の“厳重注意”については,6月議会でもお答えしましたとおり,火災の頻発を踏 まえて,原子力施設以外の部分を含む事業活動全般に対する防火意識が不足していたのではないかと考え,組織風土にも言及したところであります。
一方,鋼製防護壁の基礎工事の不具合や,工期延長に係る公表については,事業者が原子力規制庁の現地検査官とも情報を共有していたことや,目指していた工期を間近に控えた判断であったことを踏まえれば,組織的な問題とまでは言えないと認識しておりますので,厳重注意などを行う考えはございません。
村には「工事計画の審査をし、是非を下すような機能はない」、良く言い切ったものだと驚きます。村民への責任とはどういう事で果たしていくというのでしょうか。
施工不良問題について規制庁は当初、規制委員会への報告義務はない案件と言いました。規制委員会の審査の妥当性や審査手続きに、大変疑問があります。
また、事業者原電の住民の理解を得ながらとしつつ、今回の施工不良を自らは公表しようとしなかった姿勢は大変問題であり、行政や住民との信頼関係を大きく損ねました。
こうした状況下、古くて危険性大の東海第二原発の再稼働、どうして認めることができるでしょうか。村長にはきっぱり再稼働NO!の意思表示を、直ちに行うことを求めまして、私の一般質問を終わります。