2024年7月20日(土)
[ 新着情報 / お知らせ ]
1.ガラス固化技術開発施設
高レベル放射性廃液のガラス固化処理については、ガラス溶融炉への白金族元素の堆積により何度も中断され、住民の中で「処理は不可能なのか」と危険が大きい廃液が保管されていることへの不安が高まっていた。
今回の視察で、設備高経年化に係るリスクを考慮すれば、ガラス固化処理完了を2038年度末(令和 20 年)とする見通しを持ちながら、一方、ガラス固化の早期完了を目指す観点からは、2035年度末(令和 17 年)をガラス固化完了の目標として管理していくこととされていることが分かった。
ガラス固化処理後の保管セルでの保管には何も問題がないのかなど、まだ未掌握のことや、保管セルでの保管後の処分先の見通しがないことは、東海村敷地内が最終処分場となる危険があるのかなどの心配が無くならない状況にあると言える。
しかし、まず高放射性廃液を安全にガラス固化体にする作業の推進で、住民の安全・安心を軽減することが求められている。
今回の視察をもってしても、地層処分への構想があることは分るが、この日本において地層処分が現実的事業と思うには至らなかった。こうしたもとで今後、新たな高レベル放射性廃液をつくらないことがまず重要と考える。
再処理施設の廃止措置計画用設計津波の遡上による漂流物の衝突から防護対象施設(①高放射性廃液貯蔵場HAW ②ガラス固化技術開発施設TVFガラス固化技術開発棟および第二附属排気筒)を防護するための防護柵としての支柱・ワイヤーロープ設置、鉄骨梁補強工事、コンクリート増打補強等については、敷地内に海水が流入する事を避ける必要は無かったのか、もう少し説明を聞きたいところと考える。
主排気筒の設計地震動に対する耐震性確保については、設計地震動が例えば東海第二原発の場合と同規模なのか、対策も同様なのかなどもう少し説明を聞きたいところと考える。
東海第二発電所の敷地面積は約86万m2(約26万坪)で、宮城県の女川原発(敷地面積約173万m2)、今年元日に被災した石川県の志賀原発(約160万m2)と比べても相当狭いと感じた。仮に東海発電所の解体が進めばもう少しは広がるのかもしれないが、現状では、この狭さの中で新規制基準に対応する工事を進めるしかなく、今年9月を工事完了予定で進めていることから、敷地内はますます構造物が増え、余裕がなくなっているのを感じた。働く方々が怪我をしないよう、また暑さ対策などで十分な留意が必要と考えられた。
鋼製防護壁(取水口部の防潮堤)の基礎部である地中連続壁工事で明らかになった①コンクリートの未充填、②鉄筋の変形、③鉄筋カゴの高止まりの現場を確認したが、工事規模の大きさと、工事中とは言え現場の大変な込みあい状況にまず驚いた。この込みあい状況をみただけでも、仕事に集中しきることは相当大変な事なのではと思うのは、私自身、この仕事について全くの素人だからとは思うが。
3つの不具合(欠陥工事)がなぜ発生したのか、原因について説明者に質問したら「計画の時点で地下水位が高いことが工事に影響出るかどうかを考えたが、水を切って安定液で置くと影響が出るという事に気づかなかった(メモが不確か?)」というようなことを述べられた。明確な回答ではなかったと残念に思った。
しかし今後現状の体制で工事を進めるとすれば、この原因を明確にしなければ同じことが繰り返されるのではないかと私は以前から考えていたが、原電としては実際にはわかっていることなのだろうか。
規制委員会が原電に対し「地中連続壁部の造り直しも含めて検討するよう」求めたと聞くが、鉄筋の高止まりは「問題ない」や、コンクリートは未充填などあっても基本的に(健全性に)「問題ない」など述べておられたことを鑑みれば、本件について当初「非公表」で工事を進めると考えていたことがよく分かった。
しかしこの問題は、2023年3月発行の「テラchannel6号」で原電自ら取水口の防潮堤工事は「安全性向上対策工事の要」と公表しているように、計画通り、設計通りにやれないことは、住民にも行政にも理解が得られないことだと、思わなかったのか(感じることすらしなかったのか)、ここが原電の火災多発問題だけではない「組織風土の問題」だと私は確信した。工事は時間がかかっても設計通りに行われることが、規制委員会の審査に合格したという事になるのではないか。
質問事項は他にもあったが、時間の関係で住民の方から寄せられた件などを優先させた。
※東海第二発電所視察の報告書には書きませんでしたが、私は原電の申請書を審査して「合格」を出した原子力規制委員会にも言いたい。この件は規制庁が初めから分かっていたことであり、「非公表」で良いとしてきたことなのではないか。これで原子力規制庁、規制委員会と言えるのか。住民は行政は心細くて仕方ない。これほど重要な工事だからこそ計画・設計通りに行なうよう最初から求めるべきでした。
住民の突き上げ、国会での議論があったからと慌てるのではなく、たえず住民の立場の原子力規制庁・規制委員会であるべきです。
しかし、この工事が仮に予定通りに行われたとしても、過酷事故が起きないという保証にはならないことは周知のとおりであり、再稼働を認めることはできません。