2019年10月7日(月)
[ 新着情報 / お知らせ ]
関西電力の報告書には、元助役から関電幹部に、現金をはじめスーツ券や金貨、小判型の金などが頻繁に届けられていた事実が記されていました。しかも原子力担当部門を中心にばらまかれ、原子力事業本部の要職にいた2人にはそれぞれ1億円超という桁外れの金品が提供されていました。関電と原発立地自治体の“有力者”との癒着が長きにわたって形成・温存されてきた異常な実態の一端を浮き彫りにしています。
しかし、国民が支払った電気料金を原資とする原発マネーの不透明な流れの解明には程遠い内容です。元助役に約3億円を資金提供したとされる高浜町の建設会社については、関電が多額の工事発注をしたことは認めたものの、詳細については、口をつぐんでいます。発注金額や手続きは「適正」といいますが、関連資料は黒塗りで、説得力はありません。元助役の資金の出どころについても「分からない」と繰り返すだけです。昨年9月にまとめた報告書をひた隠しにし、世論の批判を浴びて、しぶしぶ公表した経過にも示されるように、関電の隠ぺい体質は変わらず、根本的な反省もありません。
常識からかけ離れた癒着がうまれた最大の要因は、原発再稼働を最優先にする関電の姿勢があります。報告書には「(元助役の)機嫌を損ねると」「発電所運営に支障を及ぼす行動に出るリスクがある」などの表現が随所に出てきます。「東日本大震災後、原子力発電所の早期再稼働を実現することが喫緊の課題となり、各発電所において大規模な安全対策工事を進展させている中で、森山氏への対応の頻度は多くなっていた」と2011年以降、再稼働を強引に推し進める上で、元助役とのゆがんだ関係をエスカレートさせた経過をうかがわせる記述もあります。
安倍政権がすすめる原発再稼働という「国策」の中で噴き出した重大な疑惑は、再稼働の前提を揺るがす大問題です。4日の所信表明で、関電原発マネー疑惑に一言も触れなかった首相の認識と姿勢が厳しく問われます。
関電の社内調査報告書で元助役が高浜町、県庁、県議会、国会議員に「広い人脈を有し」と記載されていることは絶対にあいまいにできません。自民党幹事長代行の稲田朋美衆院議員(福井1区)が代表を務める党支部に元助役の関連企業から献金があったことなどが判明し、福井県幹部が元助役から商品券をもらっていたことも分かりました。原発マネーをめぐる底知れぬ疑惑を洗いざらい明らかにすることは、開会した臨時国会の重要な課題となっています。