活動報告

マンション偽装なぜ見抜けなかったか。国・行政の責任重大

2015年10月28日(水)

[ 活動報告 ]


くいを打ち込む深さやセメント量のデータを偽装したと指摘されている三井住友建設とその下請けの旭化成建材の責任が厳しく問われることは当然のことですが、同時に国や行政の責任も重大です。

2005年に耐震強度偽装事件が起きました。1級建築士が行ったマンションなどの構造計算を改ざんしていたもので、この偽装を建物の建築確認・検査を実施した行政や民間検査機関が見抜けず認めていたことから社会問題となりました。

手抜き検査横行

 この背景には、従来は、地方公共団体の建築主事が建築確認・検査を実施していたものを、民間の「指定検査機関」に門戸を開放した1998年の建築基準法「改正」があります。これにより株式会社も含めた民間機関に事実上丸投げするものとなったのです。

このことについて当時、日本共産党は衆院建設委員会で「営利を目的とする結果、安かろう悪かろう、極端な場合は手抜き検査ということが横行しないか」と指摘していました。(98年5月15日、中島武敏衆院議員=当時=の質問)

今回、問題となったマンションも建築確認検査を行っていたにもかかわらず、なぜ違法建築物が見抜けなかったのかが厳しく問われます。

 一部報道では「打ち込んだくいが固い地盤に届いたことを記すデータは、建築確認をおこなう横浜市や民間検査機関に提出する仕組みになっていなかった」としていますが、建設中にデータと実際のくい打ちを照らし合わせていれば、偽装を発見できたはずです。建築物の目の届かないところで安全が無視されていた由々しき事態です。

安全軽視の流れ

建築基準法は第1条で「国民の生命、健康及び財産の保護を図る」と明記しています。また20条では「建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、定める基準に適合するものでなければならない」としています。

こうした点からいえば、2度にわたる大偽装事件が引き起こされたことの原因究明 とその責任と背景を明らかにし、その説明責任を果たすべきです。また新建材や新技術が開発されることによって国交相がそれを「認定」することで「検査不要」とする安全を軽視する規制緩和の流れが広がっています。データの改ざん等の不正を許さず、安全を最優先する法制度に抜本改正することが求められます。

また国、行政は不安と憤りを募らせている住民に寄り添って必要な支援の手をさしのべる必要があります。     (日本共産党国民運動委員会・高瀬康正)より

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